ニッチビジネスの見つけ方・差別化の仕方①【お客さんを知る】
この記事では、我々のようなスモールビジネスを行うものにとっておさえておくべきニッチの考え方・差別化の仕方をご紹介していこうと思います。
この『スモールビジネスのためのニッチビジネスの見つけ方』の記事は①から⑤まであります。
この記事は、『ドラッカーに学ぶ「ニッチ戦略」の教科書』藤屋伸二著 ダイレクト出版
を参考にしました。
スモールビジネスのニッチ戦略に役に立つ考え方ですので、もっと知りたい方はこの本を読まれてみると良いと思います。
今回はその①として、「すでにあるニーズに対応する」という考え方にフォーカスしていきます。
目次
ニッチ市場を見つける7つの着眼点『すでにあるニーズに対応する』
それでは、『すでにあるニーズに対応する』という切り口で7つのポイントをご紹介していきます。
1.対象市場を絞り込む
大企業は例外はもちろんありますが、一般的に「総合化」を計ります。
どういうことかというと、資金力にものを言わせ手を広げてスケールメリットを生かしビジネスをしていきます。
それはそれで正しい戦略です。
しかし、それを資本が乏しい我々個人事業主や中小企業がやすべきではありません。
スモールビジネスは選択と集中
我々、個人事業主や中小企業は経営資源に限りがあるので専門特化する必要があるということはわかると思います。
その中で、限定的な市場に特化するのがニッチ戦略です。
注意していただきたいのは、専門特化するといってもそれだけに閉じこもってそればかりに注力していれば良いということではありません。
「自分の知識やノウハウが活かせる市場」に限定するという意味です。
そう考えることによって、新たな視点からビジネスが生まれることはよくあります。
じっくり考えてみてください。
2.当たり前のことを熱心にやる
誰かが望むことを熱心にやると、あなた独自の道がひらけてきます。
その誰かは、多くの人が望むことではありません。
『特定の人』が望むことを考えてください。
そして、自分だけの『独自化』ができると利益率が上がります。
少々高くてもあなたから購入したいと思っていただけると、お客さんは購入してくれるからです。
なので価格競争に巻き込まれることもなくなります。
3.強者の既存の利益に反することをする
経営学の用語で「イノベーションのジレンマ」という言葉があります。
これは何かというと、
新しい技術等で新商品が開発できるが今ある別の商品が売れなくなるので、
その新しい商品を取り入れることができない状況をいいます。
ということは、その商品・サービスは大手や強者は取り入れることができませんので我々個人事業主や中小企業が入り込める「スキマ」であると言えます。
例を上げてみましょう。
ライフネット生命が大手生保のイノベーションのジレンマを突いた事例
大手生保とは古くから日本にある、日本生命や第一生命等の生命保険会社です。
いわゆる「セールスレディ」がセールスをしている保険会社です。
あなたも一度は見たことがあると思います。
そして、ライフネット生命と言えば、インターネットで生命保険を販売する会社で有名ですね。
大手生保は「セールスレディ」を通じて強力な人的営業網を確立しています。
なので、それを否定するようなインターネット販売には本格的には参入していくことができません。
その大手生保のイノベーションのジレンマを突いて、ライフネット生命はインターネット販売で成功しました。
4.業界からみた非常識なニーズに対応する
「顧客や市場のニーズ・要求はわがままで非常識であることが多い」と業界や企業は考えます。
しかし、それは顧客や市場の常識や合理性が自社や業界のものと違うだけなのです。
そしてそのような業界にとって不合理・非常識と感じる要求をビジネスチャンスと捉えると、新たな市場を開拓することができます。
『俺のフレンチ』の非常識なニーズに応え成功した例
「一流シェフがつくる高級料理を低価格で食べたい」という市場のニーズは非常識でした。
そこで「俺のフレンチ」は高級料理を立って食べさせるという非常識なビジネスモデルを生み出し、市場の非常識なニーズに応えました。
そして、そのビジネスモデルをマネて、いきなり!ステーキ等ステーキを立って食べさせるというように追従店も多くみられるようになりその非常識は常識になっていくのです。
5.儲かりそうにない事業に取り組む
一部分で考えれば儲からないようなビジネスもチャンスとなりえます。
他の商品・サービスと複合させて利益をとるという方法があります。
例を上げてみましょう。
赤字工事の雨漏り補修工事で利益をあげる『雨漏り110番』
『雨漏り110番』は、単価に関わらず雨漏りが止まるまで補修工事を行なっています。
この雨漏り補修工事はある程度高度な技術が必要なのにも関わらず、受注単価は低いということかあります。
雨漏りは、補修しても一度では止まらないことが多くそのような工事ではほとんど赤字だそうです。
しかしそれでもやります。
そのカラクリは、それ単独の工事では赤字でもお客さんとの信頼関係ができるため他の箇所の工事も相見積もりなしで受注できるからです。
もちろんすべてのお客さんがそうではないですが、何パーセントかはそういったお客さんが出てくることが数字としてわかっています。
したがって、事業全体で言えば利益がとれる仕組みになっているということがいえます。
この雨漏り補修工事を「フロントエンド」、その先にあるその他の利益率が高い工事を「バックエンド」といいます。
これは重要な考え方ですのでぜひ覚えておいてください。
6.手間がかかる、面倒くさいに対応する
普通の経営者は基本的に効率を求めます。
なので、面倒くさい仕事を嫌う傾向にあります。
だからこそ、そこに独自化のチャンスが隠れています。
株式会社ノースポイントが少ロッドの受注に対応し成功した例
株式会社ノースポイントは、美容室などで使う自社オリジナルのノンシリコンシャンプーなどを50本から製造しています。
他メーカーは通常3000本単位から受注しています。
どんなに頑張っているところでも1000本単位が下限です。
それは、基本的に面倒くさいからです。
さらに、シャンプーの成分も相手先が望む成分での製造を受け入れています。
こうなるとさらに面倒くさくなるので、他者はまずやりません。
だから、独自化でき、売上を伸ばしているのです。
7.高度な技術を要する分野に取り組む
町工場の岡野工業株式会社の「痛くない注射針」で成功した事例
注射は痛いものですが、蚊に刺されても痛くありません。
それは針が細いからです。
当初、注射針を痛く無くなるまで細くできる技術を持っている企業はほとんどありませんでした。
仮に、そのために資金を投入し研究開発をしたところでそれに見合う市場規模はありません。
なので、大企業自体ではそれを行いませんでした。
そして大企業であるテルモも自社では開発せず、アウトソーシング先を探していたところ、この岡野工業株式会社が応え今や「痛くない注射針」の分野で先駆者となれています。
参考文献 藤屋伸二著『ドラッカーに学ぶ「ニッチ戦略」の教科書』ダイレクト出版
まとめ
以上、すでにあるニーズに対応するという視点からニッチ市場を見つけるヒント・差別化のヒントをご紹介しました。
7つの着眼点をまとめると
1.対象市場を絞り込む
2.当たり前のことを熱心にやる
3.強者の既存の利益に反することをする
4.業界からみた非常識なニーズに対応する
5.儲かりそうにない事業に取り組む
6.手間がかかる、面倒くさいに対応する
7.高度な技術を要する分野に取り組む
あなたのビジネスでもこれらをヒントに差別化や独自の市場を見つけてみてください。
次回は、ニッチビジネスの見つけ方②として
『これから起ころうとしている未来のニーズに対応する』をいう視点から解説していきたいと思います。
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