ニッチビジネスの見つけ方・差別化の仕方④【ピンチをチャンスに変える】
皆さんも一度は聞いたことがあるかもしれません。
ノミのジャンプ力は自分の体の何倍もあります。
そこでノミをガラス瓶に入れ蓋をすると、ジャンプしようとしますが蓋があるのでぶつかります。
何度もぶつかることで、例えガラス瓶の蓋を外しても「自分はこれ以上は飛ぶことができない」と思い込み、蓋があった高さを超えてジャンプすることがなくなるそうです。
この「思い込み」は人にも当てはまります。
この「思い込み」を無くすことで新たなビジネスチャンスを見つけることができるようになります。
この記事では、ニッチ市場を見つける着眼点として『マイナスをビジネスチャンスに変える』という視点から事例を中心にお伝えしていきたいと思います。
ニッチ市場を見つける3つの着眼点「マイナスをチャンスに変える」編
①弱みをチャンスに変える
自分のビジネスを見直してみると、自社の弱い部分というものがあるかと思います。
ここでは、その「弱み」をチャンスに変えるということにフォーカスしていきたいと思います。
ここでは4つの事例をご紹介したいと思います。
立地の悪さをプラスに変えて成功した工場の例
ある工場は敷地が3段になっている1段目に建てられていました。
その後の売上増で、新工場を建てなければならなくなり、第2工場を敷地の2段目、第3工場を敷地の3段目に建っているそうです。
そのため、連続で生産ラインが作れず少ロッドの受注しかできませんでした。
長い間それをマイナスと捉えていたのですが、それを埋めようと品質や効率を磨き上げて、多品種少ロット生産を「売り」にして業績を安定させています。
与えられた環境で、どうすればそれに適応できるか、マイナスをどうすればプラスに変えられるか考えることができたからそこにチャンスが生まれたのです。
有料で廃棄していたカニの殻を健康補助食品として利用した例
カニは半分以上が殻で、産業廃棄物として有料で処分しなければなりませんでした。
それがカニ加工業者にとって長い間「弱み」として捉えていたのです。
しかし、カニの殻にはキトサンという成分が含まれていることがわかりました。
キトサンは、コレステロール値の低下、ダイエット効果、高血圧予防、免疫力を高める、解毒作用等の効果があり健康補助食品の原料になることがわかったのです。
また、卵の殻の内側の薄膜にも医療品や健康補助食品の原料となる成分が含まれていることがわかっています。
このように弱みを強みに変えることが実際にできます。
業界や自社の弱みをゼロベースで考えることが重要ですので、ぜひあなたのビジネスにおいても考えてみる価値はありそうです。
肉のトレイをビニール袋に変えたスーパーマーケットの例
肉をキレイに美味しく見せるため、白いトレイが使われています。
これは美味しそうに見せるためにコストをかけているということです。
もしこれがビニール袋で済むなら、コストを削減でき消費者は安く買えることができるのです。
にもかかわらず、業界の常識や慣行でそれを使用しているのが現状です。
その常識を打ち破ったのが、関東を中心に店舗を展開しているオーケーストアです。
ここでは、一部の肉をトレイを使わずにビニール袋に入れて陳列しています。
肉の品質に自身があり、お客さんもそれをわかっているのでムダなコストをかける必要がないのです。
無料が当たり前の雨漏りの原因の調査費を、有料にした雨漏り110番の例
雨漏りの補修工事の業界は、最初の段階である原因の調査費を無料にしているのが普通だそうです。
それは、いうまでもなくお客さんのハードルが低くお願いしやすいからです。
しかし、その原因の調査費用というのは実際にかかっているのでどこかでしわ寄せが出てきます。
例えば、工事の手抜き、低品質の資材使用、施工業者の利益圧迫等が考えられます。
これはお客さんにとっても、施工業者にとってもマイナスでしかありません。
他の例にも出てきた雨漏り110番グループは、しっかりとした雨漏り補修工事をするために、雨漏り調査を5万円〜10万円をいただいているそうです。
なので、徹底した原因究明をすることができるのです。
それに基づいて補修工事をすれば、お客さんは質の良い工事を受けることができ、業者は利益を確保することができるようになります。
ですが、そのようなビジネスモデルの雨漏り補修業者は他にないようです。
業界ではあたりまえに行われていること・慣習の逆を行くという視点で成功する事例はこの他にもたくさんあります。
これらの事例から、あなたのビジネスに応用できないか考える余地はありそうですね。
②アンバランスをチャンスに変える
2つ目は、アンバランスをチャンスに変えるということです。
会社内には様々なアンバランスというものがあります。
よくあるのは、費用対効果がアンバランスで生産性に改善の余地があることが多いものです。
一人当たりの必要売上を確保するため、関連商品を取り扱うようになった製造業の例
一定の市場シェアを確保したい場合、自社の商品だけでは一人当たりの売上が少なすぎるということがあります。
関東を中心に医療機関専門に薬袋やカルテ等の印刷物を製造していた会社では、一人当たりの売上を確保するため、水薬用のプラスチック容器を製造する工場を買収しました。
今では、医療機関に必要な事務用品、白衣など、医療用の消耗品を除くすべての消耗品を取り扱う販売業者になっています。
販売効率の悪い取引先の営業をやめ、成功した婦人服の卸売業者の例
ある婦人服の卸売業者は、取引先が500社を超えていました。
しかし、利益をもたらす取引先は、全体の20%の100社程度にすぎませんでした。
しかも、残りの利益をもたらさない80%の取引先は、地方に点在していたため営業効率も悪かったのです。
その上、支払い代金の遅延、倒産などの問題もこの80%の400社から発生していたのです。
そこで、一定の取引基準を設定し、それを以下の取引業者への訪問活動を中止し、商品配送も有料化することにしました。
その代わり、ショールームを新設しそこでのお買い上げは5%の値引きをしてショールームに来てもらうことを奨励しました。
さらに、ちょっと贅沢なランチを出したそうです。
その結果、残りの80%である400社の合計の売上高は、訪問していた時よりも大幅にアップしました。
そして、訪問に行かない分、新規開拓に時間を使えるようになったので一人当たりの生産性も大幅にアップしたのです。
③脅威をチャンスに変える
最後に、脅威をチャンスに変えるということです。
様々な脅威がビジネスチャンスになる可能性があります。
ここでも例を一つ見て見ましょう。
人口減少している地域を対象にし成功した総合不動産サービスの会社
札幌市近郊の人口が少ない地域で、総合不動産サービスを展開している会社があります。
札幌市を除く北海道では、人口減少化が進んでいます。
人口の現象は、不動産業にとっては脅威と捉えられています。
ところが、同社はあえて人口が増えている札幌市ではなく、その周辺地域を対象にビジネスをしています。
これらの地域を詳しく分析すると、人口は減少しているのに世帯数は減少していませんでした。
そこにビジネスチャンスを見出したのです。
さらに、同社の主な集客手段はチラシですが、その地域の同業他社は個人経営が多くチラシを配布することはほとんどありませんでした。
また、ホームページに力を入れている会社もほとんどありません。
これは、ライバルがいないようなもので一人勝ちの状態です。
しかも、そのような地域では他の業種もそのような傾向があるので、測量や火災保険、引っ越し等で生じたごみの処理などの不動産の周辺商品を扱っても利益が取れます。
今後、ますます少子高齢化が進みこのような地域がたくさん出てくることは目に見えています。
あなたのビジネスでも参考になるのではないでしょうか?
参考文献 藤屋伸二著『ドラッカーに学ぶ「ニッチ戦略」の教科書』ダイレクト出版
以上、「マイナスをビジネスチャンスに変える」ということで3つの着眼点からお伝えしました。
まとめると、
①弱みをチャンスに変える
②アンバランスをチャンスに変える
③脅威をチャンスに変える
この3つでした。
自分のビジネスでは、関係ないと思ってもよく考えることで、アイデアが閃くことがありますので一度考えてみる価値はあります。
差別化戦略のヒントはこちら
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